2026年9月22日

疑問
「これまで心筋梗塞や脳卒中になったことはないけれど、70歳を過ぎてもコレステロールの薬を飲む意味はあるのでしょうか?」
今回ご紹介するのは、臨床医学分野で世界的に評価の高い医学誌「The New England Journal of Medicine(NEJM)」に掲載されたSTAREE研究です。
結論
今回の研究では、70歳以上の方でも、コレステロールを下げる薬によって心筋梗塞などの心血管イベントが減りました。
一方で、認知症や持続的な身体機能の障害なく生存する期間が延びることは、確認されませんでした。
結果
オーストラリアの70歳以上、9,971人(平均74.7歳)を対象とした研究です。心血管疾患・糖尿病・認知症の既往がなく、自立して生活している方が参加しました。
アトルバスタチン(コレステロールを下げる薬)1日40mgを目標に服用する群と、プラセボ(薬の成分を含まない錠剤)を服用する群に無作為に分け、中央値5.9年間追跡しました。
| 調べた結果 | 薬を服用 4,984人 | プラセボ 4,987人 |
|---|---|---|
| 心血管イベント※ | 6.0% 297人 | 8.3% 412人 |
| 死亡・認知症・持続的な身体機能の障害のいずれか | 12.8% 637人 | 13.6% 676人 |
※心血管疾患による死亡、死亡に至らない心筋梗塞・脳卒中、心臓の血流を改善する治療のいずれか。表の割合は、追跡中に起きた人数を各群の参加者数で割った値です。
追跡期間を考慮した解析では、心血管イベントの相対的なリスクは約30%低下しました(ハザード比0.70、95%信頼区間0.61〜0.82)。死亡・認知症・身体機能の障害をまとめた結果には、統計学的に明らかな差はありませんでした。
安全性の面では、試験との関連があると判断された重篤な有害事象は、両群とも2.7%でした。
当院からのメッセージ
年齢だけで「コレステロールの治療はもう必要ない」とは言い切れません。一方で、今回の結果が、すべての高齢の方に薬が必要という意味でもありません。
当院では、コレステロール値だけでなく、これまでの病歴、生活の状況、ほかのお薬や副作用への心配もふまえ、治療の必要性を一緒に考えます。
参考文献
Zoungas S, Wolfe R, Moran C, et al.; STAREE Investigators. Atorvastatin, Cardiovascular Events, and Disability-free Survival in Older Adults. N Engl J Med. Published online August 29, 2026. doi:10.1056/NEJMoa2607314
