高血圧
高血圧

高血圧とは、血液が血管の壁を押す力である「血圧」が、高い状態を指します。日本には約4,300万人の高血圧患者さんがいると推計されています。血圧が高いと血管の負担が大きく動脈硬化(どうみゃくこうか)を進行させます。
高血圧は、正しく診断し、生活習慣やお薬を適切に調整することで、脳卒中(のうそっちゅう)や心臓病、腎臓病などの予防につながります。当院では、患者さんの生活やご希望を大切にしながら、無理なく継続できる治療方法を一緒に考えていきます。


血圧は120/80mmHg未満が正常です。ただし、120/80mmHgを超えたからといって、すぐに高血圧というわけではありません。診察室や病院で測定した血圧が140/90mmHg以上、または家庭で測定した血圧が135/85mmHg以上の場合に高血圧の診断になります。
しかしながら、120/80mmHgよりも血圧が高くなると脳卒中、心筋梗塞、心不全、心房細動(しんぼうさいどう)、認知症、慢性腎臓病などのリスクは徐々に高くなることが知られています。そのため、血圧が120/80mmHgを超えている場合にはぜひとも生活習慣の改善などを行うことをおすすめしたいと思います。最近の日本の高血圧ガイドライン(高血圧管理・治療 ガイドライン2025)では下記のような管理が推奨されています。
まずは家庭血圧を測定し、減塩、運動、体重管理などの生活習慣を見直しましょう。高い状態が続く方や、糖尿病・腎臓病・心臓病などをお持ちの方は、医師への相談をおすすめします。
高血圧の診断になります。放置せず、早めに医療機関を受診するようにしてください。

高血圧は、脳卒中や心臓病などによる死亡に大きく関わる、危険因子第1位です。
症状がないまま血管や心臓、脳、腎臓への負担が蓄積するため、高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれています。私たち内科医が、最も積極的に予防・治療すべき生活習慣病の一つです。
治療目標値

覚えてほしい4つ目の数値は130/80mmHgです。2025年に改訂された『高血圧管理・治療ガイドライン2025』では、年齢にかかわらず、次の数値が基本的な降圧目標となりました。
ただし、血圧はやみくもに下げればよいわけではありません。患者さんの体調、ふらつき、腎機能、心臓病などを確認しながら、一人ひとりに合わせて、安全に血圧を下げていくことが大切です。
現在も、目標血圧を達成できていない高血圧患者さんは少なくありません。高血圧のお薬には多くの種類があり、年齢、腎機能、心臓病などに応じて、適切なお薬や組み合わせを選択します。
一番大切なのは、食事、運動、お薬を適切に組み合わせ、患者さんが無理なく長く続けられる方法で目標血圧を目指すことです。当院では、患者さんと相談しながら、一人ひとりに合った治療方法を一緒に考えていきます。
また、生活習慣の改善や複数のお薬による治療を行っても、血圧が十分に下がらない「治療抵抗性高血圧」に対しては、腎デナベーションというカテーテル治療も新たな選択肢となりました。
腎デナベーションは、2026年3月から一定の条件を満たす患者さんに保険適用されています。ただし、すべての高血圧患者さんが対象となる治療ではなく、専門的な検査を行ったうえで、認定された医療機関において実施されます。
生活習慣の改善、お薬による治療、必要に応じた専門的な治療など、多くの選択肢の中から患者さんに最も適した方法を考えることが、内科医の重要な役割です。血圧がなかなか下がらない方や、現在の治療に不安がある方は、一度ご相談ください。
高血圧は、頭痛、めまい、肩こり、動悸などを伴うこともありますが、多くの患者さんには、はっきりとした自覚症状がありません。症状の有無ではなく、実際に測定した血圧で判断することが重要です。
一つでも当てはまる方は、血圧の状態や原因を確認するため、一度ご相談ください。
高血圧の約8〜9割は「本態性高血圧」と呼ばれ、一つの明確な原因で起こるのではなく、遺伝的な体質、加齢、食生活、体重、運動習慣など、さまざまな要因が重なって発症します。
塩分の摂り過ぎ
日本人は世界的に見ても塩分摂取量が多い傾向があります。塩分を摂り過ぎると体内に水分が溜まりやすくなり、血液量が増加することで血圧が上昇します。
肥満
体重が増えると心臓はより多くの血液を送り出す必要があり、血圧が上昇しやすくなります。特に内臓脂肪型肥満は高血圧との関連が強いことが知られています。
運動不足
運動不足になると血流が悪くなり、肥満や生活習慣病の原因となります。適度な運動は血圧を下げる効果が期待できます。
ストレスや睡眠不足
精神的なストレスが続くと交感神経が活発になり、血圧が高くなることがあります。
喫煙
喫煙するとニコチンの作用によって血管が収縮し、一時的に血圧が上がります。また、喫煙は動脈硬化を進行させ、脳卒中や心筋梗塞の危険性を高めます。
過度な飲酒
適量を超える飲酒は高血圧のリスクを高めます。休肝日を設けることや、飲酒量を見直すことが重要です。
高血圧の中には、原因となる病気や薬剤が隠れている「二次性高血圧」があります。
特に、若い頃から血圧が高い方、急に血圧が上がった方、複数のお薬を飲んでも血圧が下がらない方では、二次性高血圧を疑って検査することが重要です。
二次性高血圧は、血液検査、尿検査、睡眠検査、超音波検査、CT検査などを適切に組み合わせなければ発見できないことがあります。
原因が見つかれば、その原因を治療することで血圧が大きく改善したり、服用するお薬を減らせたりする可能性があります。これまで高血圧の原因を詳しく調べたことがない方は、一度ご相談ください。

高血圧の最も怖い点は、自覚症状がないまま血管、心臓、脳、腎臓へのダメージが蓄積することです。
脳卒中
脳の血管が詰まる脳梗塞や、血管が破れる脳出血の原因となります。麻痺や言語障害など重い後遺症が残る場合があります。
心筋梗塞・狭心症
心臓の血管が狭くなったり詰まったりすることで発症します。突然の胸痛や呼吸困難を引き起こし、命に関わることがあります。
心不全
高血圧によって心臓に負担がかかり続けると、心臓の機能が低下して心不全を発症することがあります。
慢性腎臓病
腎臓の細い血管が傷つくことで、尿たんぱくや腎機能低下を生じ、重症になると腎不全や透析につながることがあります。
全身の血管の病気
全身の血管が硬くもろくなり、さまざまな血管疾患の原因となります。
大動脈瘤、大動脈解離、下肢血流障害などの危険性も高くなります。
これらの病気を予防するためには、症状がない段階から血圧を適切に管理することが重要です。
高血圧が疑われる場合には、血圧の状態だけでなく、血管や臓器への影響の有無も確認します。
血圧測定
診察室での血圧測定に加え、ご家庭で測定した血圧の記録も重要な情報となります。
血液検査
腎機能、電解質、血糖値、コレステロールなどを確認します。必要に応じて、原発性アルドステロン症、甲状腺疾患など、二次性高血圧に関する検査も行います。
尿検査
尿たんぱくや尿糖の有無を調べ、腎臓への影響を評価します。
心電図検査
不整脈、心房細動、心肥大、心筋虚血などの有無を確認します。
胸部レントゲン検査
心臓の大きさ、肺うっ血、大動脈の状態などを確認します。
頸動脈(けいどうみゃく)超音波検査

頸動脈のつまり具合を調べます。また、「全身の血管の詰まり具合・狭窄の具合を推測する」ことができるとされており、全身の動脈硬化を予測するために行います。
放射線を使用せず、痛みもほとんどないため、身体への負担が少なく、動脈硬化の評価として行いやすい検査です。
心臓超音波検査

胸に超音波を当てて、心臓の大きさや動き、心臓の筋肉の厚さ、弁の状態などを詳しく調べます。
放射線を使用せず、痛みもほとんどない、身体への負担が少ない検査です。
睡眠時無呼吸症候群の検査

いびき、無呼吸、日中の眠気などがある方には、簡易睡眠検査などをご案内します。
健康で自分らしい生活を長く続けるために

高血圧治療の目的は、単に血圧の数字を下げることではありません。
脳卒中、心筋梗塞、心不全、心房細動、腎臓病などを予防し、患者さんが健康で自分らしい生活を長く続けられるようにすることが治療の目的です。
治療の基本は生活習慣の改善です。
特に減塩は重要で、日本高血圧学会では1日当たりの食塩摂取量を6g未満にすることを推奨しています。麺類の汁を残す、漬物や加工食品を減らす、調味料を直接かけず小皿に取るなど、続けやすい方法から始めましょう。
ウォーキングなどの運動、適正体重の維持、節酒、禁煙、十分な睡眠も大切です。患者さんの生活に合わせ、無理なく継続できる改善方法をご提案します。
生活習慣の改善だけでは十分に血圧が下がらない場合や、脳卒中・心臓病などの危険性が高い場合には、降圧薬による治療を行います。
患者さんの年齢、腎機能、心臓病、糖尿病などを考慮し、一人ひとりに適したお薬を選択します。お薬を開始した後も、血圧、体調、血液検査などを確認しながら量や組み合わせを調整します。
健康診断当日の緊張、睡眠不足、寒さなどによって、一時的に血圧が高くなることがあります。
一方で、健診では正常でも、ご家庭や職場では血圧が高い「仮面高血圧」が隠れていることもあります。反対に、病院だけで血圧が高くなる「白衣高血圧」もあります。
そのため、健診で血圧が高いと指摘された場合は、放置せず、家庭血圧を測定して本当の血圧を確認することが大切です。
当院では、健診結果の確認から家庭血圧の評価、必要な追加検査、治療方針のご提案まで対応しています。受診の際は、健診結果と、家庭血圧を記録した手帳やアプリをお持ちください。
朝起床後1時間以内と、夜寝る前の測定がおすすめです。毎日同じ条件で測定することで正確な傾向を把握できます。
減塩、減量、運動などによって血圧が正常化する方もいます。また、二次性高血圧では、原因となる病気を治療することで血圧が大きく改善する場合があります。
一方、遺伝的な体質や加齢などが関係している場合は、長期的な管理が必要です。
患者さんによって異なります。生活習慣の改善によって減量や中止が可能になる場合もありますが、自己判断で中断せず医師と相談しながら治療を進めましょう。
高血圧は症状がなくても、脳、心臓、腎臓、血管へのダメージが進行します。将来の脳卒中や心筋梗塞などを予防するため、症状がない段階から適切に管理することが重要です。
病院で緊張して血圧が高くなる「白衣高血圧」と、病院では正常でも家庭や職場で血圧が高くなる「仮面高血圧」があります。
特に仮面高血圧は、家庭血圧を測定しなければ見逃されるため注意が必要です。測定結果を記録し、受診時にお持ちください。
当院では、高血圧の診断、原因の検査、心臓・脳・腎臓・血管への影響の評価、生活習慣の改善、お薬の調整まで、総合的な高血圧診療を行います。
健康診断で血圧の異常を指摘された方、ご家庭で血圧が高い方、複数のお薬を飲んでも血圧が下がらない方、高血圧の原因を詳しく調べたことがない方は、お気軽にご相談ください。
患者さん一人ひとりの生活や価値観に合わせた、無理なく続けられる治療をご提案し、将来の脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎臓病の予防を目指します。
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